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VHF帯広帯域ディジタル干渉計を用いたロケット誘雷実験

フロリダ州ゲインツビルとフロリダ大学

この研究は米国フロリダ大学と共同で実施しています。フロリダ大学のあるゲインツビルはフロリダ州北部に位置し,北緯はおおよそ種子島より少し南あたりで温暖な気候です。2月でもプールで泳いでいる人がいるくらい暖かい気候です。

大学のマスコットは”Gators”と呼ばれるワニです.フロリダ州にはどこでもalligator と呼ばれる小型のワニにいてその名前からとったものです。大学構内の川にも野生のワニが4 匹います.慣れてくるとかわいらしいものです。

このマスコット”Gators”は,老若男女問わず町の人々に愛されています.T シャツはもちろんカバンや歯磨き粉に至るまで様々なグッズが用意されていて、おそらくGators グッズだけでも十分生活できそう. ちなみにゲータレード(Gatorade)はフロリダ大で開発されたスポーツ飲料でGators をもじって付けられたそうだ。アメフトの公式戦は5万人以上収容できる大学所有のスタジアムが超満員。試合のある時は町中”Gators”一色となります


フロリダ大学構内に生息する野生のワニ


フロリダ大アメフトチームGatorsの公式戦:大学所有スタジアムにて


ロケット誘雷とは

ロケット誘雷とは,約1mのロケットを数メートルの発射台から地上数百mの高度に打ち上げ,落雷を発生させる技術で、人工雷とも呼ばれます.ご興味の方には,フロリダ大学のウェブページで迫力のあるロケット誘雷の動画を一度ご覧になることをお勧めします。

フロリダ大学所有の誘雷ロケット打ち上げ施設(International Center for Lightning Research and Testing:ICLRT)は500m四方の広さを持ち,7,8mの打ち上げ塔がある.施設内には80を超える多種多様な観測器が設置されており、雷の詳細を観測可能となっています。落雷が地上建造物に与える影響を調べるために、この施設内には実験用の家、滑走路、送電線なども設置されています。

雷の研究を難しくさせている一つは観測が難しいことです。このロケット誘雷ではどこに落雷するかあらかじめ場所が分かっているため、観測器の的を絞ることができ、効果的な観測をすることができます。我々以外もNASAやアメリカ、ヨーロッパなど他の研究機関も参加しています。


ICLRTの入り口。入り口の道は「Lightning Strike Road」と呼ばれます。


ロケット打ち上げ塔


ICLRTのオフィス


観測の様子

当研究室で開発したVHF帯広帯域ディジタル干渉計(以後,干渉計)を設置し、ロケット誘雷に伴う放電路の観測をします。より良い観測を成功させるために,居住区から少し離れた電波環境の良い少し辺鄙なところに観測機を設置することが多いです.今回のフロリダの観測でもその例に漏れず、3サイトのうち一つはゴルフ場横の林の中,もう一方はチタン採掘場の隣であった.居住区から大きく離れているため,野生動物に出会うことが多い.亀やアルマジロ,ウサギ,ラクーンなどは危害を与えないので別に問題ないですが,ヘビやクモは困りました.普通のヘビやクモなら問題ないですが,人を殺せるぐらいの毒をもった種もあるので要注意.危険なヘビ(たぶんガラガラヘビ)とクモの見分け方をフロリダ大のスタッフに教えられましたが、幸い出会うことはありませんでした。安全第一。

干渉計設置の様子。こちらはチタン採掘場横のサイト。右手前に見えるのが干渉計。左奥に見えるのはフロリダ大所有のトレーラ。この中にパソコンなど記録計を置いています。ちなみにこのトレーラにエアコンをつけるのに丸2日かかりました。


チタン採掘場横の干渉計


実験の間に仲間と昼食


ロケット誘雷の瞬間。真ん中に見える光が雷放電路。


研究成果

2009年、2010年と2年間実施し大きく3点の成果があります。

  • 上向き正極性リーダについて
       ・上向き正極性リーダを初めて3次元可視化に成功
       ・上昇速度、中和電荷位置の測定
  • ICCパルスの発生機構について
       ・ICCパルス発生が2つ存在することを立証
       ・両極性落雷の発生機構について新しい考えを提案
  • ロケット誘雷直前に発生する微小放電について
       ・プリカーサと呼ばれる上向き正極性リーダに成長できなかった小さな放電の観測
       ・実験室で確認されていた正リーダに伴うストリーマバーストをロケット誘雷で実証

どの研究成果も耐雷や雷放電の放電機構を考えるうえで重要な成果となっています。

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