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河崎研究室 > 研究紹介 > ダーウィン観測.
熱帯収束帯ダーウィンにおける巨大積乱雲の雷観測

オーストラリア・ダーウィン

オーストラリア・ダーウィン地方は世界三大雷多発地帯のひとつ(あとは、中央アフリカとブラジルの内陸部)、「世界の煙突」とも呼ばれるエリアで、孤立した積乱雲がよく発生する。この時期は乾季から雨季への移り変わりの時期で、現地の言葉で「ヘクター」と呼ばれる巨大積乱雲が発生し大気電気の分野の研究者から注目を集めている。

市街地から少し離れると巨大なマンゴー畑が広がりさらに奥に行くと広大な湿地帯が姿を現す。ここでは、手つかずの自然がそのままの状態で残っており、車で走っていると、カンガルーやエリマキトカゲ、ときには巨大なヘビやワニまで目にすることがある。雷は先住民アボリジニーから神としておそれられてきた。雨季には毎日のように雷が鳴る。

ダーウィンの巨大積乱雲の中で電気がどのように溜まり、雷の放電路がどのようにすすんでいるのか。独自に開発した世界最高の時間分解能を有する広帯域干渉計を用いて明らかにする。


ダーウィンのまわりには広大な湿地帯が広がる(Window on the Wetland より撮影)


世界遺産カカドゥ国立公園にある雷神ナマルゴンの壁画


観測サイトの近くで保護されたワラビーの子ども


観測の様子

雷観測は、まず現地での観測装置の設置場所の交渉から始まる。マンゴー畑や民家、水牛が走る牧場など観測に適していそうな場所があったらお願いする。オーストラリア人は寛大なためかあっさりOKをもらえたりする。

写真はマンゴー畑の横に設置している広帯域干渉計アンテナの様子。午後になると巨大な積乱雲が発生する。雲の上部が平らに水平に広がっているのがわかる。これはかなとこ雲(anvil)と呼ばれており雲頂が対流圏界面(ダーウィンでは高度20km)まで達していることを意味する。この雷雲内では、氷などの降水粒子同士が激しく衝突し摩擦によって粒子が帯電する。電荷が蓄積し、空気の絶縁を破壊するほど電界が高くなったとき、雷放電が発生すると言われている。雷放電は放電が始まってその後、雲の外に出て落雷に至るような大きな放電になるものもあれば、雲の中だけで終わる小さな放電もあり、放電の特徴も様々である。

このような私たちが普段目にすることができない雲の中の電気の動きをみるのが、広帯域干渉計である。


マンゴー畑に設置された広帯域干渉計とその向こうに見える巨大積乱雲


雷に打たれて焼けた木もしばしば目にする


近くのバーで休憩や研究についての議論をする


研究成果

これまでのダーウィン雷観測キャンペーンでの研究成果

  • 雷放電路について世界最高の時間分解能(約1マイクロ秒)で詳細な三次元的可視化に成功
  • 雲内の放電現象について
       ・雲内放電で同じ経路を何回も辿る過程があることを三次元的に可視化し実証
       ・双方向性リーダ仮説の実証
  • 大地に至る放電現象(落雷)について
       ・放電進展路と電荷構造の関係について過去のシミュレーションによる仮説を実証
  • 広帯域干渉計を用いた雷雲内電荷構造推定

関連業績リスト

  • Stepped leader characteristics in developing horizontally within thunderclouds and in descending out of thunderclouds, Yoshida, S., M. Akita, T. Morimoto, T. Ushio, Z.-I. Kawasaki, The XXXth URSI General Assembly, Istanbul, 2011. (Oral, Invited)
  • Effects of the charge distribution in thunderclouds on leader propagation,M. Akita, Y. Nakamura, S. Yoshida, T. Morimoto, T. Ushio, Z. Kawasaki, and D. Wang, Journal of the Atmospheric Sciences (in press)
  • What occurs in K process of cloud flashes?, M. Akita, Y. Nakamura, S. Yoshida, T. Morimoto, T. Ushio, Z. Kawasaki, and D. Wang, Journal of Geophysical Research, 115, D07106, doi:10.1029/2009JD012016, 2010.   
  • Spider-like lightning observation using VHF broadband digital interferometer, Y. Nakamura, K. Murata,T. Morimoto, T. Ushio, Z. Kawasaki, American Geophysical Union Fall Meeting 2008, 2008.
  • Lightning observations and consideration of positive charge distribution inside thunderclouds using VHF broadband interferometry, T. Morimoto, Z. Kawasaki, and T. Ushio, Atmospheric Research, Vol.76/1-4, pp.445-454, 2005.
  • Three-dimensional lightning observations of cloud-to-ground flashes using broadband interferometers, R. Mardiana, T. Morimoto and Z-I. Kawasaki, Journal of Atmospheric and Solar-Terrestrial Physics, Vol. 64, pp.91-103, 2002.
  • Three-dimensional imaging of lightning channel and leader progression velocity, Z-I. Kawasaki and S. Yoshihashi, Journal of Atmospheric Electricity, Vol.20, pp.41-52, 2000.
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